小花さん

今回ご紹介するのは、女子野球「東京アンビシャス」で代表・監督、「早稲田大学女子野球チーム」で監督を務める小花利文(こばな・としふみ)さんです。単に野球を教えているだけじゃなく、人の人生と向き合った指導、教育をしてることが伝わるインタビューとなりました。

2016年11月6日。

リーグ最終戦を、劇的な逆転サヨナラ勝ちで見事に白星で飾った東京アンビシャス。

試合後に、監督である小花利文さんにインタビューをさせて頂きました。

小花さん


女子野球を普及発展させる


---試合お疲れ様でした。劇的でしたね。

小花さん:いやー勝ってよかった!本当によかった。

---最終回、見事に2アウトから逆転しました。

小花さん:劣勢の時こそ声を出して盛り上げる、こっちから動いて揺さぶる、アクションを起こす。最後の最後にそれが実った試合だったね。

---なんだか「人生」とも置き換えられそうですね。

小花さん:うん、一緒だと思う。弱ってる時、不安な時こそ、足動かして行動しないと状況は何も変わらない。野球から学ぶことは大きいよねって選手にいつも話してる。

---今日の試合、まさに劣勢の時でも積極的に動いてましたもんね。そんな劇的な試合後に、いきなり根本的な質問になりますが、まず東京アンビシャス設立の目的を教えてください。

小花さん:2014年の7月から「東京アンビシャス」はスタートしたんだけど、全部で目的は3つある。

まず一つ目の目的は女子野球の普及発展。

大学時代に日本体育大学女子野球部の監督として、大学日本一を経験させてもらってから「俺が今後できることはなんだろう?」って真剣に考えた時に、野球に携わって女子野球を普及させることだと思ったんだよね。

コーチ陣とも話し合って、どこのチームよりも女子野球の普及発展に先頭に立ってやっていこうって決めたんだよ。

---2つ目の目的は何ですか?

小花さん:二つ目は、次世代を担う若手選手の育成。今、ウチのチームにも若くて将来が楽しみな選手が入ってきてるんだけど。

アンビシャス3
試合中は選手を鼓舞する声かけ。

これから先、選手としても人としても成長してもらって、プロ野球選手や代表選手をウチのチームから輩出したいと思ってる。そこに関しては、大学時代、日本一の経験もあるし、優秀なコーチ陣もいるから自信がある。

やっぱり俺だけじゃなくて、コーチ陣が支えてくれてるからね。ホント感謝してる。

---最後の3つ目は何でしょうか?

小花さん:3つ目が地域社会貢献。

社会に繋がること、プラスになることをしたい


---地域社会貢献てすごく広い意味に感じますが、これはどういう想いから決めたんですか?

小花さん:普段、仕事してても地域・社会に貢献してるって実感はしづらいと思うんだよね。俺の場合、今はタクシーの運転手の仕事をしてるから、高齢者を乗せる時なんかは少し実感できるけど。

教員時代にそのことを考えてたら、果たして俺のやってることは社会貢献になってるのかな?ってすごく疑問で、結果的にはなってるんだろうけど実感はしづらくて....

じゃあ社会人のチームをこれから作るのであれば、楽しさだけじゃなくて社会に対して繋がること、プラスになることをしたいなって思ったんだよね。

---具体的にやっていることはあるんですか?

小花さん:アンビシャスは世田谷のチームだから、オフシーズンは区内のゴミ拾いをしたり、小学校の授業でTボールを教えに行ったり。

時には障害者野球チームと合同練習したり。これは障害者野球の存在をもっと知ってもらいたいという想いもあって。

障害者野球の人たちって、ボールに対する執着心・想いがすごく強い。学ぶこと、考えさせられることは多いし、選手たちも俺もだけど、健康で元気に野球ができてる、生活ができてることにまず感謝しなきゃいけないよね。

日本一になっても人間性が伴わないと意味がない


---指導する上で大事にしてることはありますか?

小花さん:アンビシャスでは野球というツールを使って人間教育をしてるんだよね。野球を人生に置き換えて、選手には人として成長してほしいって想いがまずある。

女性は身体のこと、生活のことを考えれば、男性より野球をやれる期間は短くなるでしょ。

野球を辞めた後の人生の方が長いわけで、ただ野球をするだけじゃなくて、人生に生かせるものを何か見つけてほしい。

ここでは日本一を目指して活動してるけど、野球で日本一になったところで、日本一にふさわしい人間性が伴ってなければ意味がない。

野球の前にまずは"人間性"が大事だと思う。

ミーティング


---アンビシャスの選手を見ていると、挨拶含めて、礼儀正しいチームだと感じます。

小花さん:挨拶まだまだだよ。(笑)

やっぱり学校教育みたいに毎日会ってるわけじゃないから、一回の活動日、1日でどれだけのインパクトを与えて、相手が感じてくれるか?がすごく大事。

かと言って、色々言いすぎて詰め込みすぎても選手たちがパンクしちゃうから、一個一個確認しながらね。(笑)

結局、どの教育もまずは教える人、監督がどういう考え方を持ってるかを選手たちがいかに感じてくれてるかが大事だと思う。

選手には、野球を通して人間として成長していくんだよ!って毎回話してるけど、彼女たちもそれをだんだん理解してきてくれてる。

選手たちをいい方向に導けるような言葉かけは意識してるかな。

ミーティング
試合後のミーテイング。

---小花さんは、人の人生と向き合ってるという印象を受けます。

小花さん:意識はしてないけどね。人が好きっていうのがそもそもで、昔から教えたがり、面倒みたがりだから。(笑)

ミーティング

アンビシャスを軸に考えたらタクシードライバーがドンピシャだった


---ところで、タクシーの仕事はいつから始めたんですか?

小花さん:3年前くらいからかな。

---なんでタクシーを選んだんですか?

小花さん:アンビシャスを軸に生活する上で、時間お金繋がりが重要だと思った。運転はもともと得意だし、接客も得意だからそれを生かそうと。

今から新しいこと覚えるってなると時間も体力も取られるから、今ある武器でそのまま効率よく働けるとこどこだろ?って考えたら、タクシーがまさにドンピシャだった。

「よし、これならそのまま野球に集中できるわ!」って。

---さっきもチラッと出ましたが、教員もやられてたんですよね?

小花さん:うん。大学卒業した後、専門学校の女子ソフトボールの監督やってたときに、午前中だけ教員として授業してたよ。

でも脱線して人生論ばっかり話してたけどね。(笑)「考え方をよくすれば、人生は絶対楽しくなる!」って言い続けてた。

選手に声をかける小花さん
ミスした選手にはすぐに一つ一つ確認。

---小花さん、やっぱり熱いですね。(笑)

小花さん:飲み会の席でも「好きなタイプは?」って質問されたら、「感謝・礼儀・恩義がある人」ってフツーに答えちゃうもん。(笑)

基本暑苦しがられて、嫌われること多いけどね。


--------選手へのインタビュー---------

---(取材後にキャプテンの手塚友子さんに聞いてみました) アンビシャスの好きな所は?

手塚さん:まず仲間が好きです。アンビシャスには、信頼おける監督・コーチがいて、チームの仲の良さはどこにも負けないと思います。

今年のスローガンが、「One for Ambitious 」なんですけど、チーム一人ひとりがアンビシャスのために行動しようという意味です。

今までは、受け身で指示を待ってから動く選手ばかりだったけど、これからは元々いたメンバーが引っ張って、選手主導で考えて動けるチームにしたいです。これは仕事でも人生でも生かせると思うので。

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大事なのはアンビシャス愛


---野球という選択肢もある中で「女子野球」を選んだのはなぜですか?

小花さん:日体大で女子野球のコーチの打診を受けて、そのあと監督になって日本一を経験させてもらって、なんか運命的なものを感じたんだよね。

---アンビシャスを今後どうしていきたいですか?

小花さん:まず、みんなが野球を楽しくやること。アンビシャスでしかできないことはいっぱいあるから、アンビシャスで野球ができてよかったなと感じてもらえるようにしたいね。

チームを辞めた選手が、辞めた後も支えてくれたり、応援してくれたりするには、アンビシャスへの愛がないと成り立たない。

アンビシャスでいろんなことを経験できて、成長できて、人生楽しくなったよねっていう流れは理想的だよね。さっきも言ったけど、日本一になったからってゴールでもなんでもない。

目的は別のところにある。自分たちがチームを愛することで、応援してくれるファンはつくだろうし、こんな魅力的なチームなんだよ!ってことも知ってもらえるはず。

小花さん

今までの選択した結果が「今」


---今日は試合後でお疲れのところ、ありがとうございました。次が最後の質問になります。最近、生き方・働き方で悩んでる人が多いと感じてるんですが、そんな人たちへのメッセージがあればお願いします。

小花さん:こちらこそありがとうございました。

メッセージか...考え方はそれぞれあると思うけど、やりたい仕事をやればいいじゃないかな?

やりたくない仕事をやって愚痴が多い人がたまにいるけど、でもそれを選んだのはあなたでしょ?って。いつも思うよ。

だからといって好きな仕事を選ぶには相当な覚悟がいるよね。その覚悟がない人も多いなって思う。「覚悟本当にあるの?」って聞きたくなる。

だからそれですぐにまた辞めたいっていうのはちょっと考えられない。それは単純に自分勝手で、ラクしてるだけでしょ?って思うから。

好きなことを本気でやるんだったら、それなりの覚悟は必要だし、その選択には責任もてよ!と言いたい。

結局今までの選択した結果が、「」なんだよ。だから今、こうやって取材が実現してるのも、俺と高松くんのお互いの選択の結果。

これからの人生は自分で作り出せるんだよ?ってことを教員時代も、今でも伝えてる。自分が描いた道を辿って、あとはそれに沿って選択していけばいいだけ。

自分でしっかり道を選んでいけば、行きたい場所に近づけるし、覚悟があれば目指す場所に辿り着けると、俺は信じてる。

整列
試合前の整列。


----編集後記----

取材をさせて頂いたこの日から2週間前、実は小花さんと二人で飲む機会がありました。

お酒を飲みながらでも強く話されていたのは、生きて行く上で大事なのは「人間性」という部分。

この日の取材でも

「野球というツールを使った人間教育をしてる」
「野球で日本一になっても日本一の人間性がないとダメ」

と、あくまで"人間性"が大事なんだと強調しています。

取材を通して、芯が強くいつでも筋が通ってる熱い男という印象がさらに強く残りました。

選手たちにも小花さんの熱い想いが伝わっているからこそ、「One for Ambitious」というスローガンになったんだろうなと、キャプテンの手塚さんのお話を聞いている時にも感じました。




小花利文(こばな・としふみ) 
小花利文さん
神奈川県大和市出身。東京アンビシャス球団代表・監督。早稲田大学女子野球チーム監督。女子ソフトボール日本リーグ(実業団)最年少監督。アメトーーク『運動神経悪い芸人と女子野球対決』出演。世田谷区を中心に、女子野球の普及・発展のために日々活動中。いつでも人の人生と向き合う熱い男。


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